貧困と自己責任の近世日本史
江戸時代の農村は本当に貧しかったのか、という問いから出発する歴史書です。奈良・田原村に伝わる片岡家文書には、近世農村の家計を詳細に記した記録が残されています。本書はその資料を精緻に分析して公開し、そこから見えてくる近世農村像を描き出します。さらに著者は、生活困窮者の公的救済に冷淡で「自己責任」を強く問う現代日本社会のありようを問題意識に据え、その淵源を近世の村社会にさかのぼって考えようとします。
家計簿のような一次史料から過去の生活をどこまで復元できるのかに興味がある方に向いています。また、自己責任論がなぜ日本で根強いのかを歴史的な視点から考えたい方にとっても、手がかりになりそうです。324ページの学術系の書籍で、ある程度じっくり読む構えが求められます。
はてなブックマークでは、2026年10月21日にブックマークされています。現時点でのブックマーク数は1件と、注目が大きく広がっている段階ではありませんが、2017年刊行の書籍が近年あらためて拾われている点は、自己責任をめぐる議論への関心の持続をうかがわせます。