存在と時間
二十世紀ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの主著『存在と時間』を、中山元の翻訳で読む光文社古典新訳文庫版です。一九二七年に公刊された本書は、「存在とは何か」という問いを、その問いを発する人間のあり方(現存在)の分析から立て直そうとした著作として知られ、西洋哲学の流れを大きく変えた一冊とされます。この巻は四六六ページで、分冊刊行されるシリーズの最初の一冊にあたります。
難解さで知られる古典ですが、平易な現代日本語を掲げる新訳文庫での刊行であり、既訳で挫折した人が読み直す入り口としても選びやすい版です。哲学や思想に関心があり、腰を据えて長期戦で古典に向き合いたい読者、また人間の時間や死、日常のあり方をめぐる問いに関心のある読者に向くでしょう。全体を通読するには続巻も必要になる点は、読み始める前に押さえておきたいところです。
はてなブックマークでは、「将棋棋士・糸谷哲郎さんの大切な本 哲学とともに 挑み続ける一手|好書好日」が六十八ユーザーを集めました。将棋と哲学という組み合わせへの関心から、この古典に目を向けた人が一定数いたことがうかがえます。